人はなぜマラソンを走るのか(後編)

さらなる快感を見いだしていく

男子にかわって、世界最強の座にのしあがってきたのが女子マラソン陣である。高橋尚子が2000年シドニー五輪で金メダルを取り、2004年アテネ五輪では野口みずきも優勝した。

学校のクラブ活動や市井のマラソン熱の高さが好影響を及ぼしているのは明らかで、それが女子の競技レベルを押し上げている。才能あるアスリートがマラソンに集まってきているのも大きい。

その結果、女子に関しては、競技レベルが底辺からトップにかけて理想的なピラミッドになった。

男子の場合は、裾野が広くても頂上が低いのだが……。

人は長い距離を走ることにたまらない喜びを見いだしてきた。それは今後も変わらないだろう。

いや、情報化という「見えない怪力」に左右される社会になればなるほど、我々は人間性回帰の手段として走ることにさらなる快感を見いだしていくに違いない。

人はなぜ走るのか。

その答えは、「42・195キロメートル」の中に詰まっている。

文=康 熙奉(カン ヒボン)

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