適度な雨は人の心もうるおす

 

9月の始まりは朝から雨の1日だった。そして、今までの寝苦しい夜とはうって変わり、ぐっすり眠るには最適な気温だった。しかし、めざまし時計はいつもの時間に鳴る。さぁ、起きなくては、と布団の中で伸びをする。




雨上がりには幸せが待っている

急いで雨戸を開けると、フワッ、と雨にぬれて懐かしさを感じる土と草木の匂いがした。草木は緑を増してピンと生き生きと見える。ピンクのサルスベリ(百日紅)のふわふわした花びらは、雨に打たれてひらひらと落ちていく。
余談だが、サルスベリは、初夏から秋にかけて咲くフリルのような花で、幹は白くすべすべしている。サルでも滑り落ちそうなツルツルした幹から名付けられた。
ふと、雨の日に思い出すことがあった。
娘と手を繋いで歩いているとき、娘が急に歌いだした。
「あめさん、いたくないのかな、あたまをぶつけて、いたくないのかな」
勢いよく地面に降りつけた雨粒が、娘の目線からは「あめさん」が痛そうに見えたのだろう。私もリズムをとってくりかえし一緒に歌った。
私は雨が嫌いではない。しかし、人々の生活を一変させてしまう災害級の大雨はかなしいばかりだ。適度な雨がよい。適度な雨は大地をうるおし、汚れた空気を洗い流してくれる。雨上がりに大きい虹が見えたら最高だ。




また、日中降った雨が止み、晴れ間が出た日の夜空は深い群青色をしている。そして、たくさんの星が明るく、はっきりと、きれいに見える。こんなきれいな星が見られることを幸せに思う。
思わず明日もよい1日になりますように、と心の中でつぶやくのだ。

文・写真=須坂のりこ
生活エッセイスト。ものづくりの現場に携わり、手芸を中心に多彩に興味を広げており、特にファッション、クラフト、デザインについて発信を続けている。西村玲子さんのエッセイ&イラストが好き。大人の楽しみとは何か、をいつも考えながら暮らしている。

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