子供の頃の遊び場は家のまわり

 

「じゃんけん まからか すけらっち」と言う、ジャンケンのかけ声を使っていた人はいるだろうか。グーを作った手をリズムに合わせて振り、「っち」で出すのだ。私は子供の頃よく使っていた。意味は全然わからないが、大人になった今でも鮮明に覚えている。あの頃のワイワイガヤガヤの声までもが、蘇ってくるようだ。




遊びはジャンケンから始まる

このかけ声を口ずさむと、三つ編みのおさげ髪をした幼い私が、「かくれんぼ」の鬼になりたくなくて、必死で手を振っている。友達もいっせいに「すけらっち」と声を張りあげている。そんな光景が目に浮かぶ。
子どもの頃の遊びにジャンケンは、必ずと言ってよいほど必要不可欠だった。
「ゴムとび」「缶けり」「鬼ごっこ」「だるまさんがころんだ」など、ジャンケンから遊びが始まる。
そして、その遊び道具は、誰の家にでもあるもので十分だった。
「ゴムとび」のゴムは、持ち寄った輪ゴムを、いくつもつなげて長くした。
「缶けり」の缶は、果物や肴の缶詰めの缶を使った。
缶の切り口が危ないので、もしかしたら、母親たちが危なくないように、細工をしてくれていたのかもしれない。
時間を忘れて遊んでいたものだ。遊びの途中で暗くなりかけた空を見上げると、「こうもり」が飛んでいたように記憶している。




遊びは盛り上がっていても薄暗くなると、家が恋しくなるのか、「じゃあ、また明日ねー」と言ってバイバイする。
みんな汗びっしょりで手足は薄汚れていた。私も例外ではない。玄関で運動靴を脱ぐと靴の中も足も泥だらけだった。さぞかし母親は大変だったことだろう。
改めて昔は平和だったなぁ、と思う。現代は楽しい子供時代がコロナ禍で様変わりしている。子供たちは思う存分、友達と声を張りあげて遊べない。
一日も早く元の生活に戻れるように、あと少しの我慢で未来が開けてくるかもしれない。

文・写真=須坂のりこ(すざかのりこ)
生活エッセイスト。ものづくりの現場に携わり、手芸を中心に多彩に興味を広げており、特にファッション、クラフト、デザインについて発信を続けている。西村玲子さんのエッセイ&イラストが好き。大人の楽しみとは何か、をいつも考えながら暮らしている。

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