まさに女帝だった仁粋大妃(インステビ)の人生/中編

 

仁粋大妃は息子の成宗(ソンジョン)がまだ10歳だったので、垂簾聴政(すいれんちょうせい)が必要でした。これは、幼い王の背後に御簾(みす)をたらし、その奥から摂政の人が重要な政治的決定をするというものです。




熱心な仏教徒

垂簾聴政を朝鮮王朝で初めて行なったのが貞熹王后です。ただし、貞熹王后は学がなくて文字が読めませんでした。
そこで指南役になったのが仁粋大妃です。彼女は漢字が読めるし、中国の古典に精通して学問を積んでいました。
当時の朝鮮王朝には女性に学問をさせる風潮はまったくなかったのですが、仁粋大妃は別格でした。
こうして、若くして夫を亡くした仁粋大妃が大きな力を持つようになるのです。実際、仁粋大妃も政治に大きな関心を持っていました。
成宗は垂簾聴政を15歳くらいまで受けて一人前になります。
そこから親政を行なうことになりますが、王の母として仁粋大妃の影響力は絶大なものでした。
実は、朝鮮王朝は儒教を崇拝して仏教を迫害する政策を続けていましたが、意外と王族の女性は仏教を信仰することが多かったのです。




仁粋大妃もとても熱心な仏教徒でした。
しかし、成宗の側近たちは、さらに仏教を迫害する政策を推し進めようとしました。それに大反対したのが仁粋大妃でした。
「まかりならん!」
仁粋大妃は激怒し、と自分の息子に働きかけます。結局、官僚たちに強権を発動して勝利を収めました。

文=康 熙奉(カン ヒボン)

まさに女帝だった仁粋大妃(インステビ)の人生/前編

まさに女帝だった仁粋大妃(インステビ)の人生/後編

朝鮮王朝で怪物のようにふるまった5人の王族女性とは?

悲劇の五大世子/朝鮮王朝の五大シリーズ1

恐るべき五大鬼嫁/朝鮮王朝の五大シリーズ9

注目記事のエッセンス1

記事「トンイは張禧嬪(チャン・ヒビン)より悪女なのか?」

ドラマ『トンイ』は日本でも大人気を博した。トンイを演じたハン・ヒョジュの魅力もあって、トンイがいかにも明るくて純粋な女性のように描かれていた。一方の張禧嬪は、朝鮮王朝3大悪女の1人に数えられて、悪女の代名詞になっている。しかし、本当の悪女はどちらだったのだろうか。史実を見ていくと、トンイの別の顔が見えてくる。

ページ上部へ戻る