『華政』の貞明公主(チョンミョンコンジュ)はなぜ大地主になれたのか

大義名分が必要

仁祖が貞明公主に広大な土地を与えたのは、ひとえに、仁穆王后のご機嫌を取るためであった。
なぜなら、仁祖はクーデターで光海君から王位を奪ったのだが、野望の実現のためではなく政治の不正をただすために光海君を倒したことを証明しないと、国王になっても正統性を発揮することができなかった。
つまり、仁祖にしてみれば、反乱のように行なったクーデターに相応の大義名分が必要だったのだ。
その大義名分にお墨付きを与えてくれる人は誰か。
それがまさに仁穆王后だった。
なにしろ、仁穆王后は、光海君の父であり仁祖の祖父であった宣祖の正室だったのだから……。
仁穆王后は王族の最長老女性であり、彼女が与えてくれるお墨付きこそが最高の大義名分になった。




それゆえ、仁祖は仁穆王后に尽くす必要があり、その最大の形が仁穆王后の娘に広大な土地を与えることだった。
最終的に貞明公主が所有した土地は、とてつもない広さになった。
たとえば、慶尚道(キョンサンド)に持った土地は5000万坪にのぼると推定されるし、全羅道(チョルラド)でもいくつかの島をそっくり所有していた。
貞明公主は1685年に82歳で亡くなったが、彼女が残した土地のおかげで、貞明公主の子孫たちはとても裕福な暮らしをすることができた。
まさに夢のような話だった。

文=康 熙奉(カン ヒボン)

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