印象の深い「どぜう鍋」

 

夏の土用丑の日には、体をいたわり精がつくものを食べるという目的で、今年もうなぎを食べる人が多いと思う。また「う」のつくものを食べると夏負けしない言い伝えがあり、うどん、瓜、梅干しでも良いらしいのだ。




夏バテ予防の母の料理

中学生の夏、丑の日かどうかはっきりしないが、母が夏バテ予防にと「どぜう鍋」を作ってくれた。うなぎに似ているドジョウの料理である。
母は魚屋で生きたドジョウを20匹くらい買ってきて、バケツの水に入れた。「どんぐりころころ」の歌に登場する、初めて見るドジョウはウネウネとエネルギッシュに動き、興味深くのぞいていた。
夕食の準備が始まり、母は鍋にお酒と水切りしたドジョウを一気に入れ、そしてガスの火をつけふたをしたのだ!
ドジョウは鍋とふたに頭をぶつけているような、コンコンとやや大きな音が聞こえ暴れているのが分かった。
「何とごむたいな」という時代劇のセリフが浮かび、ショックを受けながら見守るしかない。しばらくして静かになると、割下で煮込み、後に食卓に並べられた。
「これを食べると元気になるぞ」と父が言う。しかし元気が無くなったどころかこんな姿になったドジョウの顔を見たら、私は胃が縮みあがり食事どころではない。




家族は料理中の現場を知らないから「うまい」と食べていたが、私の耳には「コンコン」の音が残り、鍋の中にいたドジョウを想像してしまった。
よくよく考えてみると人間は生き物の命をいただいて生きているのだから、「どぜう鍋」がむごいというのではなく、存命中に料理したからそう思ったのだ。
いただいた命に心から感謝し残さず食べることが、食べ物に対する礼儀ではないかと思う。
そして、生きるために命をいただいていることを当然のように思っていたことを反省しながら、美味しいうなぎをいただいた。

文・写真=海山 文美(みやま あゆみ)
生活エッセイスト。東京生まれ。動物の編みぐるみを中心とした編み物作家として活動しながら、ライフスタイル全般を見つめ直すエッセイストとして執筆中。生活に根付いた身近な出来事を書いています。趣味は植物鑑賞、テニス、水泳。

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