『オクニョ 運命の女(ひと)』では、チン・セヨンが扮するオクニョが、16世紀の朝鮮王朝時代に典獄署(チョノクソ)で育った設定になっている。この典獄署とは、どんな役割を持った場所なのだろうか。
囚人をしっかり管理
現代的に言えば、典獄署は刑務所と同様だ。この典獄署の施設には多くの囚人たちが収監されていた。
組織から見れば、典獄署は朝鮮王朝時代に法務全般から刑罰までを仕切った刑曹(ヒョンジョ)という官庁に所属していた。
そして、拘束された囚人たちを管理し、裁判によって決まった刑を執行する役目を負っていた。
この典獄署で実務を担当する役人のトップは主簿(チュブ)と呼ばれた。その主簿の下に奉事(ポンサ)がいて、さらに下に参奉(チャムボン)という役人がいて業務を補佐していた。
その他に、書吏(ソリ)と羅将(ナジョン)という役職が典獄署にはあった。
なお、典獄署において役人の人数は、一応は以下のように決められていた。
・主簿(チュブ)……1人
・奉事(ポンサ)……1人
・参奉(チャムボン)……1人
・書吏(ソリ)……4人
・羅将(ナジョン)……30人
こうした役人たちが囚人をしっかり管理していた。
朝鮮王朝時代の刑罰は、重罪の順に言うと、「死刑」「遠方への流罪」「きつい重労働」「杖で叩く」「笞で打つ」となっていた。
こうした刑罰の中で、笞で打たれた人は収監されることはなかった。つまり、典獄署の監獄に入っていたのは「杖で叩く」という刑罰以上の人たちだった。
文=康 熙奉(カン ヒボン)
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