朝鮮王朝時代に活躍した女流詩人として有名なファン・ジニ。韓国の国語の教科書にその詩が掲載されるほどの人物だが、彼女の妓生(キーセン)としての人生を厳しい身分制度の中で描いたのがドラマ『ファン・ジニ』だった。トップ女優だったハ・ジウォンが美しく演じた。
珠玉の名場面
ドラマ『ファン・ジニ』で、最高の名場面となったのが第9話の“永遠の別れ”のシーンであった。
良家の子息ウノ(チャン・グンソクが演じた)は心から妓生のファン・ジニを愛し、彼女もウノを愛していた。2人は共に人生を歩むことを誓いあったのだが、身分格差が露骨に残る朝鮮王朝時代にその結婚がすんなりいくわけがなかった。
周囲の猛反対の中で2人は引き離される。その苦悩の中で息絶えたウノ。親より先に死んだ親不孝者として、ウノは上流階級の弔いも受けられず、彼の棺を載せた荷車は屋敷から運び出される。
しかし、荷車がファン・ジニのいる宿舎の前を通ったとき、そこでピタリと動かなくなった。屈強な男がどんなに荷車を動かそうとしても車輪が前に進まない。
そのときファン・ジニが棺の前に進み出て、脱いだ上着を棺の上に掛けて永遠の別れを告げた。
すると、さきほどまでピクリとも動かなかった荷車が、再び前へ進みだした。雨に打たれながら、その荷車を見送るファン・ジニ。まさに、韓国時代劇を彩る珠玉の名場面だった。
このシーンはフィクションだが、似たような逸話は残っている。
実は、韓国では誰もが知る有名な女流詩人であるにもかかわらず、ファン・ジニの細かい経歴はよくわからない。
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