愛と別れの恋愛博物館〔第2回〕

現代版シンデレラの誕生

カンヌ映画祭の出席を終え、アメリカに戻ったグレースは早速、映画『白鳥』の撮影に入った。

この映画は「恋を取るか、あるいは国のために恋をあきらめるか」に悩む美しい王女の役だった。この心境はまさにグレース自身にも当てはまった。彼女はすぐに「王女を取るか、映画を取るか」の選択を強いられるようになった。

というのは、グレースはレーニエ大公からひんぱんに手紙をもらい、はっきりと求婚されていたからだ。彼女はレーニエ大公に好意を寄せていたし、何よりも上流社会に強いあこがれを抱いていた。

今、上流社会の主役の座が、手をのばせば届くところにあった。映画界に未練はあったが、悩んだ末にグレースは、求婚に対して前向きな返事をした。その手紙を受け取ったレーニエ大公は狂喜し、すぐにアメリカ行きを計画するように側近に命じた。

その年のクリスマス・イブ。レーニエ大公は「プリンセス」という最高のプレゼントを持って、フィラデルフィアのケリー家を訪ね、グレースと劇的な再会を果たした。2人は限られた時間をできるだけ一緒に過ごし、お互いの将来のことを話し合った。

「私たち、愛し合っているの。婚約したのよ」

グレースが母親にそう告げたとき、母親は天にも昇る気持ちで叫んだ。

「なんて素晴らしいことなの。私は一介の煉瓦職人と結婚したけど、娘はなんと王子と結婚するのよ!」

しかし、平民の結婚と違って、王族の結婚にはクリアしなければならない様々な問題があった。最も大きかったのは、グレースが子供を確実に生める体かどうかということだった。これは、モナコ公国の存亡にかかわる重大な前提条件だった。

モナコとフランスの間で1918年に締結された条約によると、万一大公が世継ぎのいないまま他界した場合、モナコはフランスに併合されることになっていた。

モンテカルロのカジノと観光収入で財政が潤っているモナコでは、国民に納税の義務はない。ところが、フランスに併合されると、納税・懲役など様々な義務を果たさなくてはならなくなる。それだけに、レーニエ大公にはぜひとも世継ぎが必要なのである。(ページ5に続く)

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