張禧嬪(チャン・ヒビン)の息子の景宗(キョンジョン)はどんな王だったのか

「張禧嬪の息子」という宿命

「朝鮮王朝実録」が記しているように、景宗は人間的に評判が良かった。それは、政治的にさしたる業績を残せなかったことを十分に埋め合わせている。
なお、「朝鮮王朝実録」の記述で特に注目すべきは、「仁顕王后に孝を尽くした」という部分である。景宗の生母の張禧嬪は、仁顕王后を憎んで様々な謀略をはかった張本人であった。そんな女性の息子でありながら、景宗は王妃に復位して形のうえでは継母にあたる仁顕王后を心から慕った。
ひがんだ張禧嬪は息子をひどく叩いた。それでも、景宗は継母への孝行心を最後まで忘れなかった。
同時に、景宗は異母弟の面倒をよく見て、弟が王位を継ぐ道を整えた。この点でも景宗の人柄がよくわかる。他人への思いやりが深い人物だったことは間違いない。




同じく生母が死罪になった王でも、10代王・燕山君(ヨンサングン)は母の恨みを晴らすために大虐殺を行なったのだが、景宗は無用の争いを起こさなかった。その点では「朝鮮王朝実録」が記すように人徳があったのだろう。
36歳で世を去った景宗。彼は常に、死罪になった張禧嬪の息子として生まれた宿命を背負っていた。
その負担が彼の寿命を縮めたのかどうか……。

文=康 熙奉(カン ヒボン)

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