『秘密の扉』に登場する英祖(ヨンジョ)とイ・ソン(思悼世子)の親子関係は?

思悼世子について紹介している『いまの韓国時代劇を楽しむための朝鮮王朝の人物と歴史』(康熙奉〔カン・ヒボン〕著/実業之日本社発行)

8日目の発見

なんとイ・ソンの敵は、彼のすぐそばにいる人たちだった。たとえば、イ・ソンの妻(恵慶宮〔ヘギョングン〕)の叔父・洪麟漢(ホン・イナン)、英祖の二番目の正室だった貞純(チョンスン)王后、イ・ソンの妹の和緩(ファワン)王女など。これだけ身内に陥(おとしい)れられたら、イ・ソンはひとたまりもないだろう。




彼にも落ち度は多かった。側室を殺すという犯罪をおかしていたし、妓生(キセン)と放蕩も繰り返した。
かつて神童と呼ばれた頃の面影はなかった。
さらに、老論派にそそのかされた官吏がイ・ソンの謀反の疑いを訴えるにおよんで、怒りで分別をなくした英祖はイ・ソンに自決を命じ、それが実行されないと見ると、我が子を王宮の中庭で米びつに閉じ込めてしまった。
それは、68歳だった老いた君主の乱心に他ならなかった。
イ・ソンは米びつに閉じ込められたまま、食べ物と水を与えられなかった。この間、父の英祖はどのように過ごしたのだろうか。我が子を許す、という気持ちには一度もならなかったのだろうか。
結局、イ・ソンが息絶えていることが発見されたのは、閉じ込められてから8日目のことだった。一体、いつ息絶えたのかもわからない有様だった。かりにも次の王位につく世子であったのだが……。

文=康 熙奉(カン ヒボン)

康 熙奉(カン ヒボン)
1954年東京生まれ。在日韓国人二世。韓国の歴史・文化や日韓関係を描いた著作が多い。特に、朝鮮王朝の読み物シリーズはベストセラーとなった。主な著書は、『知れば知るほど面白い朝鮮王朝の歴史と人物』『朝鮮王朝の歴史はなぜこんなに面白いのか』『日本のコリアをゆく』『徳川幕府はなぜ朝鮮王朝と蜜月を築けたのか』『悪女たちの朝鮮王朝』『宿命の日韓二千年史』『韓流スターと兵役』など。最新刊は『いまの韓国時代劇を楽しむための朝鮮王朝の人物と歴史』

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