首陽大君(スヤンデグン)が端宗(タンジョン)から王位を奪った/朝鮮王朝物語3

 

1452年に即位した11歳の端宗(タンジョン)が頼ったのが金宗瑞(キム・ジョンソ)という老臣です。世宗(セジョン)の時代に北から侵攻してきた異民族を食い止める際に大きな功績を挙げた英雄です。別称が「大虎」。そう言われるくらい勇猛な人だったのです。




自信過剰な叔父

金宗瑞が後見人となって端宗を支えました。
それでも端宗の王位は安泰とはいきません。
なぜなら、世宗の二男で端宗の叔父にあたる首陽大君(スヤンデグン)が露骨に王位を狙う動きをしていたからです。
兄弟の中で普通は長男に王位が行きますから、二男だと本来は出番がないのですが、この首陽大君は自信過剰で「俺が王にふさわしい」と思い込み、甥から王座を奪う策略を練ります。
実は、端宗の父の文宗(ムンジョン)も弟の首陽大君の野望を見抜いていました。「自分が死ねば、弟が王位を狙ってくるだろう」と察知していて、亡くなる間際まで金宗瑞に「絶対に息子を守ってくれ」と頼んでいます。




こうして端宗の王位をめぐって金宗瑞と首陽大君が激しく対立しました。
朝鮮王朝を揺るがす大事件が起こったのは1453年10月10日でした。この日、首陽大君が金宗瑞の屋敷を急に訪問し、隙をついて金宗瑞を襲って排除しました。

政権が一夜で転覆

首陽大君は端宗のところに急行し、「金宗瑞が謀反を企てたので倒しました。ほかに謀反に加わった者たちを呼び出したいので王命を発して招集してください」と強く迫りました。
気弱な端宗は有力な後見人を失い、首陽大君の言いなりなってしまいます。身の危険も感じたのでしょう。
このままでは殺されるとおびえた端宗は、「叔父さん、私を生かしてください」と言ったと伝えられています。




結局、端宗は脅しに屈する形で高官を全員呼び出す王命を発し、首陽大君は、1人ずつしか通れない狭い門からみんなが入ってくるように仕向けます。そのうえで、味方はそのまま入れて、反対派はその場で撲殺しました。
こうして一夜にしてクーデターが成功します。朝鮮王朝の歴史の中でも、政権が一夜で転覆した稀有な例ということになります。
(ページ2に続く)

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