いきなり半ライス
ぬるい水をちびちび飲んで待っていると、料理が出てきた。
ご飯が丼に半分しか入っていない。人生で経験する初めての「いきなり半ライス」だ。まあ、お代わりすればいいか、と気を取り直した。
肝心のチンジャオロースも、食べ放題で出している一皿のようで、皿が小さい。せめて、普通の皿で出してほしかった。
味については言及しない。「食べ放題」用の味、という表現で理解していただきたい。他に、スープ、ザーサイ、点心、杏仁豆腐が付いた。
すぐにご飯がなくなったので、お代わりを頼むと、「できません。するなら有料です」と言われた。今や、ご飯のお代わり無料は多くの店で常識になっているのだが……。
「最初のご飯が少なすぎたのです。一人前ありませんでしたから」
そう言うと渋々、半ライスを出してくれた。ご飯を普通に食べるのも苦労する。
会計は950円。支払って表に出て、再び店構えを見た。
入る前と印象が違う。入るときは空腹、出たときは満腹。なるほど、空腹というのは判断力を鈍らせるのかもしれない。
文・写真=康 熙奉(カン ヒボン)