禁酒を強いられた思悼世子
思悼世子の悪い噂が英祖の耳に入る中で、「思悼世子は酒乱だ」という話も大げさに伝わってきた。
驚いた英祖は思悼世子に禁酒を命じた。
それなのに、1756年5月に1つの事件が起こってしまった。
その一部始終を述べてみよう。
英祖が急に思悼世子のもとを訪ねた。
意表をつかれた思悼世子は、あわてふためいた。
そのとき、服装も乱れていた。
英祖は思悼世子が泥酔していると疑った。
「世は禁酒を申し渡したはずだ。誰が酒を飲ませたのか」
英祖が大きな声を出した。
恐れおののいた思悼世子は自ら白状した。
「自分から飲みました」
しかし、そのときの思悼世子は酒を飲んでいなかった。
それなのに、彼はなぜ酒を飲んだと言ったのか。(ページ3に続く)