『オクニョ 運命の女(ひと)』では、主役のチン・セヨンが演じているオクニョが茶母(タモ)という仕事についていた。この茶母とは、どんなことをする人なのか。歴史的な事実に基づいて説明していこう。
女性刑事の代名詞
韓国でも茶母という存在が有名になったのは、人気ドラマ『チェオクの剣』でハ・ジウォンが茶母を演じてからだ。
もともと、朝鮮王朝時代は身分制度が厳格であり、両班(ヤンバン)のような上流階級の屋敷では、身分が低い人たちが様々な雑役を担っていた。そうした人の中で、特にお茶に関する仕事をしていたのが茶母である。
茶母は専門職であり、水汲みなどの単純作業だけをしている人に比べると、仕事ぶりも相応に評価されることが多かった。
そうした茶母の中から特別に能力が高い人を選んで、事件の捜査の補助的な仕事をさせることがあった。
それは、朝鮮王朝時代に儒教が国教になっていたことと関係がある。
というのは、当時は男尊女卑の風潮が強く、男女が気軽に交流することが厳しく戒められていた。
そうなると、事件の捜査現場で不都合なことが起こってきた。つまり、警察官の役割をする人間が男性ばかりだと、女性の容疑者を徹底的に取り調べることがとても難しくなってしまったのだ。
やはり、男性だけで捜査を進めようとすると、おのずから限界があった。そこで、男性の捜査官を補助する女性が必要になってきた。
その助手の役を茶母が引き受けることが多くなり、やがて茶母は女性刑事の代名詞にもなっていった。
彼女たちは「女の世界」に飛び込み、女性ならではの勘を働かせて容疑者たちを取り調べていった。これは、男性の捜査官では絶対にできないことだ。
朝鮮王朝時代には、女性の専門職というのはほとんどなかったが、数少ない1つが茶母であった。
文=康 熙奉(カン ヒボン)
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