嘆きの顕徳(ヒョンドク)王后/美女たちの朝鮮王朝9

これは因果応報なのか

世祖の不幸はその死後も続いた。
長男が夭折したために次男が後を継いで8代王の睿宗(イェジョン)となったが、わずか1年2カ月の在位で世を去った。まだ19歳の若さだった。
世祖の息子は、2人とも10代で亡くなったことになる。
「幼い甥を殺して王位を奪った祟(たた)りだ。母の怨念に違いない」
顕徳王后が化けて世祖の夢に出てくるという話は、当時あまりに有名だった。しかも、因果応報は世のならいでもある。世祖は非情な方法で野心を叶えたがゆえに、悲劇的なしっぺ返しをくらったのだ。
数十年が過ぎて、11代王の中宗(チュンジョン)のときに、文宗が単独で祭祀を受けていることが問題となった。顕徳王后の墓を復旧させよ、という声が起こり、最終的に中宗が承認した。
しかし、放置されて半世紀以上が過ぎ、顕徳王后の墓の位置がわからなくなっていた。




王命を受けた担当者が困り果てていると、彼の夢の中に顕徳王后が出てきて、墓の位置を教えてくれたという。結果は、その通りの場所に墓があった。
こうして、顕徳王后は夫であった文宗の陵墓の横に安らぎの場所を得た。彼女は、世祖を呪い続けた王妃として後世の人たちに記憶された。

文=康 熙奉(カン ヒボン)

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