我が家は築年数がだいぶ経っている。最近、自分たちでプチリフォームしている。リフォームといえるのか? だが、やってみるとこれがなかなか面白い。
イメージしながらの作業は楽しい
最初に手をつけたのが台所だ。
「もう古い家だから何をしたっていいよ」と私。そこで、イメージはカフェ風にしょうと決まった。
ペンキを塗ることにしたのだが、問題は色だ。娘が緑にするというのだ。私の想像は薄い緑だったが、選んだのはまさに緑だ。「もう少し薄いのがいいんじゃない」と言おうものなら、「じゃ、好きにすれば」と言われるのはわかりきっている。渋々「いいね」と言ってしまう。
塗る道具はホームセンターの店員さんに勧められるままに、小さい刷毛とペンキを買って帰った。
早速、意気揚々と塗り始めたが、小さい刷毛はまったく進まない。仕方なく、もう一度ホームセンターに行きローラーを買った。これは大正解だった。スイスイ塗れる。だが、目にも鮮やかな緑色だ。慣れるのだろうか、と心配になった。しかし、出来上がったら気持ちも変わるだろうと思い、古くなったテーブルとイスも新調した。カフェに近づいてきたかな。
そして、次は床の張替えだ。息子が黙々と作業をしてくれた。
結局、私は何をしたのだっけ。ホームセンターへの買い物と、少しだけペンキ塗りと、家具の移動だけ。文句は言えない。
何日かして作業終了。終わってみればなんだか良い感じだ。
テーブルとイスも、緑になじんでいるように見える。写真を撮って、ハイ、終了。
なんだかんだ言っても、今は家の中で落ち着ける場所になっている。家事が終わって一息ついて、コーヒーを飲む時間が好きになった。
文・写真=須坂のりこ
生活エッセイスト。ものづくりの現場に携わり、手芸を中心に多彩に興味を広げており、特にファッション、クラフト、デザインについて発信を続けている。西村玲子さんのエッセイ&イラストが好き。大人の楽しみとは何か、をいつも考えながら暮らしている。