NHKの番組「コウケンテツの日本100年ゴハン紀行」は100年先まで残したい日本のゴハンを探し、全国を旅する興味深いストーリーが満載。先日は静岡の海の恵みや山のご馳走をリポートしていた。明るく楽しくきさくな性格、礼儀正しく愉快なトークには爽やかな親近感を感じる。
フレンドリーな料理家ファミリー
コウケンテツさんは大阪生まれの在日韓国人二世で、韓国料理、和食、イタリアン、エスニック料理と幅広いジャンルに精通している料理研究家だ。旬の素材を生かした簡単で美味しいメニューを提案し、テレビや雑誌でもおなじみで意外性のあるレシピは新鮮である。
家庭料理を大切に思い、食の歴史や郷土料理の良さを学んだ上で、独自のエッセンスを加え相手の求めるレシピを考えている。
母の李映林さんは韓国済州島出身の韓国料理研究家で、料理教室は予約が取れないほどの人気ぶりだ。雑誌の連載、テレビ出演など大忙しの日々である。
美人の姉のコウ静子さんは、韓国薬膳要素を取り入れた体に優しい料理が定評のフードコーディネイターだ。
李映林さんは、毎日真心を込めて料理を作ることで「あなたのことを大切に思っています」というメッセージを家族に伝えてきている。
韓国の「薬食同源」の考え方に基づく愛情込めた家庭料理、心と体を健やかに保つライフスタイルの提案、そして、三男一女を育てた経験に基づく子育て論にも定評がある。
食事は家族のコミュニケーションの場として重要であり、美味しい料理と楽しい食卓は心を豊かにする幸せの源だ。
食育という言葉はとても意味深く難しいが、料理や食材だけでなく、生産者の人達のことなどに関心を持つことも大切と感じる。
母の真心のこもった家庭料理が優しさと強い心を育み、そして、夢や希望がつまった理想的な料理家ファミリーにしていったのであろう。
文・写真=海山 文美(みやま あゆみ)
生活エッセイスト。東京生まれ。動物の編みぐるみを中心とした編み物作家として活動しながら、ライフスタイル全般を見つめ直すエッセイストとして執筆中。生活に根付いた身近な出来事を書いています。趣味は植物鑑賞、テニス、水泳。