日本と韓国の物語「第11回/布施辰治(後編)」

社会的弱者の弁護に熱心だった布施辰治

布施辰治




韓国建国勲章を受章

亡くなってから47年後の2000年2月29日、韓国の放送局MBCは名物報道番組の中で「日本のシンドラー、布施辰治」という特集を放送した。
これがきっかけとなり、韓国で布施辰治を再評価する気運が高まり、彼は2004年に韓国建国勲章を受章した。
それから5年後の2009年12月、私は布施辰治の生家跡を訪ねた。
そこには一般的な住宅が建っていた。
玄関のところで中年の女性の姿が見えたので、声をかけて布施辰治について聞いてみると、奥に引っ込んでダンナさんを呼んできてくれた。
現れた男性は、布施辰治の甥の息子だという。「祖父が辰治と兄弟だったんです」とのことだ。
「布施辰治さんは、どんな人だったと聞いていますか」
私がそう聞くと、男性は優しい眼差しで答えた。




「芯が強い人だったと聞きました。軍国主義の時代に牢獄に入ってまで弱者を助けたわけですから……」
「この場所に布施辰治さんの生家が建っていたのですね」
「ええ。昭和48年に今の家に建て直しましたけれど、それ以前は残っていました」
(ページ3に続く)

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