愛と別れの恋愛博物館〔第3回〕

希望の星となったダイアナ嬢

チャールズ皇太子が正式にプロポーズしたのは、1981年の2月である。そのとき、ダイアナ嬢は友人とオーストラリア旅行にでかける直前だった。

バッキンガム宮殿での2人きりのディナーだった。

「大変なことになるけれど、よく考えてみてくれないか」

「信じています。何も疑わずに……」

ダイアナ嬢はためらいもなく、そう答えた。

ダイアナ嬢がオーストラリア旅行に出かけてからは、チャールズ皇太子は軍事計画なみに婚約の秘密保持に努めた。

もちろん、オーストラリア旅行中のダイアナ嬢には厳重な警備がついた。

チャールズ皇太子はどうしてもダイアナ嬢の声が聞きたくなって、オーストラリアに電話をした。電話に出たのは警備官だったが、あっけなく「ダイアナ嬢は、皇太子以外の電話に出ないと言っています」と言われてしまった。

「私が皇太子だ」

「何か証拠がありますか」

「証拠? 君は私の声を知らないのか」

「声を真似ることは簡単ですから……」

こんな具合で、警備官は電話を取り次いでくれなかった。

2月24日、エリザベス女王から婚約が発表されると、国民は熱狂的に“新しい未来の妃”を歓迎した。ちょうど戦後最悪という250万人の失業者発表と重なったが、暗い話題が多かったイギリスにとって、明るい希望を感じさせる久々のビッグ・ニュースとなった。

金髪で長身の美人というのもさることながら、直前まで幼稚園の先生をしていたという庶民性も大いに人気を集めた。ダイアナ嬢は「イギリス王室初めての、自分でお金を稼いだことのある皇太子妃」になろうとしていた。(ページ5に続く)

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