嫉妬心が強い王妃
成宗は王朝初期から頭を悩ませてきた国防に力を入れ、辺境の地の平定に尽力した。こうした政治によって、平和で安定した時代が続いた。成宗が名君の一人として尊敬されるのも、彼の政治手腕が卓越していたからだ。
そんな成宗にも落とし穴があった。それが女性問題である。
成宗が残した火種は後の朝鮮王朝を燃やす大火となっていく。
実は、成宗は二番目の王妃として迎えた女性が、後の暴君、燕山君(ヨンサングン)の母となる斉献(チェホン)王后だ。
彼女は貧しい環境で育ちながら運よく宮中で働くようになった女性で、成宗より12歳も年上だった。美しかったが、気性が荒くて嫉妬心が強かった。そうした我がままな性格は王子を産むと、さらに増大した。
彼女は成宗が他の女性と話すだけでも嫉妬し、周りに当たりちらした。悪評が強くなると、他の側室たちは仁粋(インス)大妃(成宗の母)に告げ口をした。
「主上(チュサン/王のこと)、あの女性に心を奪われておりますが、彼女の宮中での評判はよろしくありません。少しご自重なさってください」
成宗にとって母の発言力はとても強く、斉献王后のもとへ通う頻度は減っていく。しかし、自尊心の高い彼女は、そうした状況が耐えられなかった。
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