黄色い鳥は幸せの鳥?

 

子供の時、突然セキセイインコが家の中に飛び込んできた。母は幸せが飛んできたと大喜びして、弟と私もうれしくて人なつこいインコを飼うことになり、父は慌てて鳥かごを買いに行った。




マッハと呼ばれたインコ

インコがオスかメスかは鼻の色で分かり、メスであったので友人からオスをゆずってもらって巣箱を入れた。
卵を生んだメスは気が強く、かごの中に手をいれようものならくちばし攻撃で卵を守り、噛まれるとかなり痛い。母は強し、だ。
ヒナが育ち美しい羽が生え揃うと、好奇心に満ちたあどけない眼差しで、巣箱の窓から外の世界を不安げにうかがっている。この頃が一番可愛くて面白い。
いたずらっ子は巣箱から落ち、用心深いおだやかなインコはじっとして末っ子はもみくちゃにされながら、5匹の子ども達は狭い巣箱の中でテンヤワンヤである。
そして、手乗りインコを育ててみることにした。育てたインコは走るのが早いのでマッハという名前を弟がつけ、マッハと呼ぶといちもくさんに走って寄ってきた。鳥なのに走るなんて変わり者だが……。
自分の名前と返事ははっきり話し賢かった。肩に乗りくちばしを人の顔にやさしくこすってきたり、首をかしげて話を聞いている仕草はたまらなく可愛くて、散歩や買い物に連れて行き一緒に過ごしたものだった。




しかし、寿命を迎える日がやってきた。エサを食べず動かなくなる姿に胸がしめつけられ、そして息をひきとった。家族の悲しみは大きく一晩中眠れなかったが、庭にお墓を作って埋めた。
私はその時、命の有るものは責任と覚悟がなければ、決して飼ってはいけないと強く感じた。今もセキセイインコを見ると少しせつないが、私達家族にたくさんの喜びをもたらしてくれたマッハは、まさしく幸せの黄色い鳥だった。

文・写真=海山 文美(みやま あゆみ)
生活エッセイスト。東京生まれ。動物の編みぐるみを中心とした編み物作家として活動しながら、ライフスタイル全般を見つめ直すエッセイストとして執筆中。生活に根付いた身近な出来事を書いています。趣味は植物鑑賞、テニス、水泳。

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