康熙奉（カン・ヒボン）著『いまの韓国時代劇を楽しむための朝鮮王朝の人物と歴史』（実業之日本社発行／２０１８年１１月２日発売）
燕山君が起こした虐殺事件
幼いころに母親を失っていた燕山君。父親の成宗がずっと口止めしていたために、周りの者たちは誰も廃妃・尹氏のことを語ろうとはしなかったが、出世に目がくらんだ高官の１人が、燕山君に母親が追放されて死罪となったことを詳しく話してしまう。事実を知った燕山君は一晩中泣き続けた。
後日、燕山君は、母親の死に関わった者たちを次々と虐殺し、すでに亡くなっている者に関しては墓を掘り起こして首をはねた。
庶民たちは、そんな暴政を行なった王を批判する文をハングルであちこちに書いた。それを見た燕山君は、ハングルの使用を禁止してしまう。
燕山君は、多くの人から恨みを買うほど暴政を行なってきたが、その暴政は長くは続かなかった。
燕山君に恨みを持つ者たちはクーデターを起こそうとしていた。そのため、彼らは燕山君の異母弟にあたる晋城大君（チンソンデグン）の屋敷へと向かった。晋城大君に次の王になってもらうためである。
しかし、晋城大君はそれに応じなかった。
燕山君のことをあまりにも恐れていたからだ。
それでも、高官たちは諦めずに説得を続けた結果、晋城大君はようやく承諾した。
こうして、１５０６年にクーデターが起こって燕山君は王宮を追われて廃位となった。その後は江華島（カンファド）に流罪となったが、わずか２カ月後に絶命した。
一方、晋城大君は燕山君に代わって１１代王・中宗（チュンジョン）として即位した。
異母兄弟の運命は対照的だった。
文＝康 大地（コウ ダイチ）
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