李芳遠(イ・バンウォン)が太宗(テジョン)になって王朝は磐石/朝鮮王朝物語2

不気味な叔父

文宗は学者なみに頭がよかったのですが、からだが弱く、わずか2年3カ月の在位で亡くなってしまいます。
その死はあまりに早すぎました。
6代王には文宗の長男の端宗(タンジョン)が就きますが、このときはまだ11歳でした。こういう幼い男子が王になると、王族女性の長老が代理聴政(テリチョンジョン/摂政のこと)をするのがならわしでした。




しかし、摂政ができる長老女性が端宗のまわりにはいませんでした。端宗の母は彼を出産した直後に亡くなっていたのです。
端宗はかなり心細かったはずです。
そんな端宗に鋭い目を向けている叔父がいました。
世宗の二男で文宗の弟の首陽大君(スヤンデグン)です。
この男が朝鮮王朝を揺るがす大事件を起こしていくのですが……。
(次回に続く)

文=康 熙奉(カン ヒボン)

太宗について紹介している『いまの韓国時代劇を楽しむための朝鮮王朝の人物と歴史』(康熙奉〔カン・ヒボン〕著〔実業之日本社/900円+税〕)

康 熙奉(カン ヒボン)
1954年東京生まれ。在日韓国人二世。韓国の歴史・文化と、韓流および日韓関係を描いた著作が多い。特に、朝鮮王朝の読み物シリーズはベストセラーとなった。主な著書は、『知れば知るほど面白い朝鮮王朝の歴史と人物』『朝鮮王朝の歴史はなぜこんなに面白いのか』『日本のコリアをゆく』『徳川幕府はなぜ朝鮮王朝と蜜月を築けたのか』『悪女たちの朝鮮王朝』『宿命の日韓二千年史』『韓流スターと兵役』など。最新刊は『いまの韓国時代劇を楽しむための朝鮮王朝の人物と歴史』

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